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村口きよ女性クリニック

女性の身体についてエッセイ集

女と男の性と生 (4)

(平成15年7月12日から毎週土曜「赤旗」にて連載 全6回)

性産業へのハードル

 最近、「性病の検査をしてほしい」「風俗(ヘルス)で働いているから」といって受診する若い患者さんが目立ってきた。非ホンバン産業であっても、不意に本番に及ぶこともあるらしい。 
 「どうしてそういう仕事をすることになったの?」と聞いてみる。「元彼がローンで車を買ったとき、名義を貸してしまったから。もう廃車になったけど・・」「エステのために借金してしまったから・・」「資格を取りたくて、高額の学費を親には出してもらえないから・・」「専門学生の時、アルバイトでやったのがきっかけで・・」「中学の時に母親が蒸発し、高1の時父も蒸発し・・」・・。
 さまざまなきっかけ、やんごとなき事情があったとはいえ、性産業へのハードルは意外に低いのかもしれないし、そこには怪物のごとき巨大な社会の構図も見え隠れする。お金が無くてもモノが買えるカード社会、「銀行から下ろすみたいに、彼はお金を使っていた」と嘆いてみても、恋人関係の危うさにも思い至らず、仕組まれた社会に取り込まれる彼に乗せられ・・。美を演出する急成長産業に・・。バックレ辞め(突然止めること)ご法度の無言の監視があり・・。 
 若く「美しい」彼女たちは頭から足先まで宝石、ブランド品に包まれ、月50〜100万も稼ぎ「もうお金なんかいらない」と言えるくらいにたくましい。「お客さんはたくさんいるんだから」ともいう。無責任な親の裏切りに傷ついても、今までセックスした男性532人と答えることのできる冷静さ、したたかさを身に付けて・・。ある精神科医の「仲良しなのにセックスレス」の講演をふと思い出した。最近は「ある時から、妻とはセックスできない(母—子、兄—妹、姉−弟などの関係に変化したため)」といった類の男性の相談が急増しているという。

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