これらの過程は脳の性中枢の支配の下で行われます。
脳の支配は、視床下部→脳下垂体系の2段階方式です。
つまり、視床下部からのホルモン(FSH放出ホルモン)による指令によって脳下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されます。
このFSHが卵巣に働き、卵胞(卵子)を成熟させます。
卵胞は原始卵胞、発育卵胞、成熟卵胞と成熟しつつ、一方で卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌します。
エストロゲンは、原始卵胞、発育卵胞時は微量に、成熟卵胞になると分泌量が一気に加速し、子宮内膜を増殖させます。
そしてそれは、後に述べる着床準備(子宮の受精卵受入態勢)の第一段階となります。
成熟卵胞となり、エストゲンの分泌量が加速し、その値が一定量に達すると視床下部は再びホルモン(LH放出ホルモン)による指令によって脳下垂体から黄体化ホルモン(LH)を大量に放出(LHサージ)させます。
この黄体化ホルモン(LH)の刺激によって卵胞が破れ、卵子が排出されます。つまりこれが「排卵」です。
卵子は卵管の中に取り込まれ、もし精子と出会えば、「受精」が成立します。
排卵後、空になった卵胞は黄体へと形を変え、成長しながら黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。
これは、先に述べたエストロゲンでの子宮内膜の増殖に加え、さらに子宮内膜をみずみずしく変化させる効果をもつホルモンであり、これで着床した場合の受け入れ態勢は完成します。
卵管に取り込まれた卵子は精子と出会えば受精が成立し、合体すれば受精卵となり、2、4、8細胞期さらには桑実胚、胚盤胞と呼ばれる状態になって子宮腔内へ移動します。
子宮腔内に移動した胚盤胞は、充分に受け入れ体制の整った子宮内膜と接着し、最終的には胚盤胞の全てが、子宮内膜内に完全に埋没し一体化します。(着床)
着床した場合は月経は起こらず、新しい生命が育まれていきます。
黄体には寿命があります。
妊娠しなければその機能は衰え、ホルモンの分泌量が急速に低下し、子宮内膜を維持出来なくなり、はがれ落ちます。(月経)
そして月経になった状態、即ちホルモン分泌が衰えた状態を感知した視床下部は、再びFSH放出ホルモンを分泌し、新たな卵子を成熟させ性周期を繰り返していきます。
黄体は白体となり退化、消滅しホルモン分泌の衰えを感知した視床下部は再びFSH放出ホルモンを分泌し性周期を繰り返していきます。