メニューオープン メニューを閉じる メニューオープン メニューを閉じる
女性の身体について
思春期に多い月経のトラブルについて
思春期はいつから始まり、いつ頃までなのでしょうか?
思春期の始まりを「初経」と同じ頃、と考えている方がたくさんいるのですが、思春期は8~9歳頃から始まります。
みなさんもこの時期に少しずつ胸がふくらんできたなど女性らしい体の変化に気付いた記憶があると思います。
それは妊娠するための性機能が発達を開始し、卵巣がホルモン分泌を始めたからなのです。
初経はその性機能が発達していく途上で起こるでき事なのです。
思春期は17~18歳頃までですが、性機能、生殖能力が身体的に成熟するには、約10年間もの長い期間がかかるのです。

月経のメカニズムと思春期

月経は直接的には、卵巣から分泌されるホルモンの働きが主体になって営まれています。
しかし、すべての生命現象の中心が脳であるように、卵巣の働きをコントロールしているのは視床下部、脳下垂体などの脳の命令系統です。
もちろん最高司令部である大脳の働きにも影響されています。
月経は、脳の命令系統と卵巣の働きが全てうまく機能することで、正常に営まれているわけですが、思春期は性機能が十分に完成していないので月経の不調・不順が起こりやすいのです。

【思春期女子の月経の状態】

思春期の間は月経の不調・不順はよくあることです。

思春期の月経異常

【思春期の月経異常とは】

このグラフから、思春期の月経異常の患者さんがとても多いことが分かります。
なかでも続発無月経、月経困難症の患者さんがとても目立ちます。

続発無月経(1)〜月経が止まる〜

月経がすっかり止まるということを「無月経」といいますが、「初月経2年以上経過していて、ほぼ規則的な月経になった後、3ヶ月以上月経がない状態」のことを言います。
その場合、心配なことも考えられます。

【思春期の続発無月経の要因】

無月経の原因はダイエットなどで急激に体重が減ったこと、そして原因不明(原因を特定できない)とされるものがかなりを占めます。
原因不明といっても、その多くは思春期特有のストレスや精神的不安定さが影響したものと考えられます。
女性特有の性機能は精神状態にとても左右されやすいのです。
思春期に抱える受験や部活、友人関係、親との葛藤などの悩みは性機能の発達に大きく影響を与えるのです。

続発無月経を引き起こす誘因は調節系に影響を与えます

続発無月経(2)〜治療について〜

無月経が長く続く時には時々女性ホルモンを投与(注射、投薬)し、子宮からの出血を引き起こす治療法を行ないます。
無月経に対するホルモン療法にはこれが一番一般的です。
「続発無月経」は原因となる長い苦しみから解放された途端に、治ってしまう事があります。ですが、思春期の無月経は回復に時間がかかります。
1年に以内に治癒する方は約25%にすぎません。4年以内に完治する人は80%程度です。
しかし、諦めずに完治するまで治療を続けることが大切です。
3ヶ月以上月経がなかったら、ぜひ、産婦人科を受診してください。
また、初経後2年以内の場合でも、ダイエットやストレスなど明らかな原因がある場合も同じです。
この症状は回復に長い時間がかかります。
人によっては3~4年という治療が必要になりますので、放っておかずに産婦人科へ行きましょう。

【続発無月経の治療 その背景にあるものは?】

機能性出血(若年性出血)

性ホルモン調整系の乱れによっておこるものです。
出血が断続的に、またはだらだらと連続して続きます。
あまり多い量でなければ1~2ヶ月は様子を見てよいと思います。
ただし、大量に出血がある場合には短期間でも貧血が心配されるので受診するのがいいでしょう。

月経がつらい月経困難症

思春期では月経時の痛みを訴える方が多く、高校生の約20~30%がこの悩みを抱えていると言われています。 月経時に下腹部痛、腰痛などの、症状が強く、人によっては下痢、頭痛、吐き気、嘔吐などがある場合もあり、日常生活に支障をきたす事もよくあります。

どうしてこのような症状が起こるのでしょうか?

一般に、月経時の下腹部痛や腰痛は、子宮の収縮が強すぎるために起こります。
月経困難症の患者さんの月経血の中には、PGが普通の人の3倍以上という高濃度で存在していることがわかっています。
大量のPGによる子宮の強い収縮が知覚神経を介して大脳に伝えられるために、強い痛みとして感じるのです。
また、月経に対する不安や緊張感、ストレスなどの心理的な作用が大脳に加わって、いっそう強い痛みを感じます。
その他にも、骨盤内の血液循環が悪くなることで腰痛が現れたり、PGが血液中に移行し、それによって腸壁を刺激して腸の蠕動運動を促し、下痢を引き起こしたり、悪心や嘔吐を起こします。

思春期の皆さんへ

思春期は性機能が発達する途中なのです。
思春期の女性はまだ子宮が十分に発育していないので、痛みを感じやすいこともあります。

これらの症状は病気のためかもしれません

月経困難症の多くは医学的には特別な原因がなく、心配はありません。
鎮静・鎮痛剤などの服用をおすすめします。
時に、子宮内膜症や子宮奇形などの病気が隠されていることもあります。
症状がひどく、繰り返す、回を重ねるたびに症状が重くなっていくときなどには、子宮内膜症などの病気があるかもしれません。
たかが月経痛などとは思わずに、一度産婦人科を受診してください。

女性の身体の仕組みを理解しましょう!

自分のからだのしくみ、月経のメカニズムを理解することは自分の健康について知るためにとても大切なことです。
また、食生活の見直しなどから病気の原因を発見できる時もあります。
皆さんのなかには、部活動や受験、友人関係などの疲れから 悩みやプレッシャー、ダイエットからのしがらみなどから、今の生活が自分の手にはおえないと感じている人もいるかもしれません。
皆さんを取り巻く環境は厳しくて、様々なストレスにさらされがちです。
そういった外からの影響が原因となり、月経をはじめとした性機能に影響を与えることもあるということをきちんと理解していてください。

©医療法人社団 村口きよ女性クリニック. All rights reserved.