種類により様々ですが、症状や潜伏期間などが異なり、また、免疫が無いため一度感染しても風邪のように危険性があれば感染を繰り返してしまいます。
でも、治療や体への影響は風邪のように簡単ではありません。
予防はコンドームの完璧な使用だけです。
それでも100%完全な性感染症予防にはなりませんし、かかってしまったら自然治癒ということはありえません。
たとえどの性感染症でも、パートナーとの二人での同時期の治療が必要となります。
どちらかが無症状であっても二人どちらもが感染している可能性は大変高く、もしこれを無視して受診を怠ってしまうと、せっかく治療した方は完治したにもかかわらず、もう片方のパートナーから再度感染してしまうこともあります。
(ピンポン感染)
予防はコンドームの完璧な使用だけ
また、性感染症は重複感染の可能性があることも考えられるため、感染がわかった時はその他の感染症の感染を疑う必要があります。
愛があるから、相手を信頼しているから、という理由で感染を予防できることではありません。
皆さんは性感染症について考えたことはありますか?
性感染症(STI:Sexually Transmitted Infection)は特別な病気ではありません。
セックスを経験した方なら誰にでもその可能性があり、たった1度のセックスでも感染の恐れがあるのです。
1990年代から急増しそして急減してきたクラミジア感染ですが、近年また微増しており、なかなか終息には至りません。
また、クラミジア・ヘルペスでは女性の感染が男性を上回っています。
性感染症患者の年次推移 定点当たり報告数(1992〜2018年)
陰部クラミジア感染症
淋菌様疾患
陰部ヘルペス
尖圭コンジローマ
減少傾向が止まり、横這いか、微増に転じて
国立感染症研究所報告より作成
男女別定点当たり年間患者報告数(2021年)
男性
女性
淋菌を除いて女性の感染が際立っている
国立感染症研究所報告より作成
排尿痛がある、おなかが痛くなる、おりものが多くなる等、女性だけでなく男性にも様々な症状が現れます。
でもそれだけではありません。
女性であれば膣、子宮、卵管、腹腔内などに炎症をきたし、そのまま放置すると将来妊娠や出産に影響が起こり、難産や子宮外妊娠の原因となることがあります。
完治しないまま出産すると、出産時に児に感染し、児の失明などの影響を与えかねません。
また、男性も女性も、抵抗力の低下からHIVの感染率が高くなってしまいます。
膣・子宮・卵管・腹腔内に炎症が起きると
クラミジア・トラコマティスという病原体が「性行為」によって感染します。
咽頭感染とは?
オーラルセックスによって、咽頭にもクラミジアが感染します。
性器クラミジア感染者の10〜20%に咽頭感染も検出されています。
クラミジアは簡単にお腹の中まで浸透し、子宮の周りの臓器や骨盤周囲に炎症を起こしますが、感染しても半数以上は全く症状を感じないとも言われています。
症状があった場合は、おりものの増加、不正出血、性交痛、排尿痛などがあります。
子宮頚管炎、卵管炎、さらに腹膜炎を起こします。
感染してから1〜2週間で発症し、この間にクラミジアは子宮を通り越してお腹の中に侵入し、子宮の周りの卵管や卵巣にも炎症を起こし骨盤全体に広がります。
さらに上腹部にも広がると肝臓の周りにも炎症を引き起こし、ひどい痛みを誘発します。
後遺症として卵管内の細胞に障害が起こり、受精卵が通過しにくくなったり、また、慢性的に感染が続くことで卵管が狭くなったりするなど、卵の運搬に障害が出てしまい、子宮外妊娠や不妊症の原因となってしまいます。
感染が子宮内に波及し、胎盤や赤ちゃんを包んでいる羊水・羊膜に炎症を起こします。
その結果、子宮収縮を誘発し流産・早産の原因となります。
また分娩時に感染があれば、産道を通るときに生まれてくる赤ちゃんにも感染し、新生児結膜炎や肺炎を発症させます。
このように女性の場合、妊娠できる体の特徴によって合併症や後遺症などきわめて複雑な症状、病態となるのです。
約2週間、抗生物質を服用することでだいたいが治ります。
この時、パートナーも一緒に検査をして治療を行うことがとても重要です!
確実な薬剤の服用とパートナーの同時治療があれば、 再発はないと考えられます。
感染による主な症状は尿道炎ですが、精巣上体炎などを引き起こすこともあります。
ほとんど症状がなく、軽い尿道のかゆみと不快感だけで無症候に近い例も少なくありません。
尿道炎、精巣上体炎を起こします。
尿道炎は感染してから1〜3週間で発症し、淋菌性のものより潜伏期間が長く
発症は比較的穏やかで症状も軽く、感染による分泌物はネバネバしており、量も少なめで排尿痛も軽い場合が多いです。
精巣上体炎はクラミジアによる尿道炎の5%程度に精巣上体炎を併発します。
他の細菌性精巣上体炎に比べて腫れは小さく、発熱の程度も軽いことが多いようです。
セックス(オーラルセックスを含む)による接触感染で、ヘルペスウイルスの感染によって性器に潰瘍や、ブツブツし隆起した水泡が現れます。
ヘルペスウイルスは、Ⅰ型(唇のまわり、口内炎などのヘルペス)とⅡ型(性器ヘルペス)に分類されますが、最近はオーラルセックスなどにより、口から性器、性器から口へ感染することがあります。
一度感染すると、ウイルスは神経に浸透し潜んでいます。ふだんは症状がなくても、疲労などで体の抵抗力が落ちてしまった時にウイルスが目を覚まし、再び症状が現れ繰り返し発症することがあります。。
性器に痒みや違和感を感じる直径1~2mm小さな水泡がいくつも現れ、その後、水泡が破れてくっつき、丸い痛みのあるイボとなります。
また、リンパ節が腫れたり、尿道から分泌物も出てきます。症状はほとんど亀頭や陰茎に多く見られますが、まれに、太ももやお尻にも広がります。
発症とともに発熱することが多く、場合によっては38℃以上の高熱を伴うこともあります。
外陰部を中心に潰瘍、水泡などのブツブツしたものが多く現れます。
痛みが強くなることで排尿や歩行が難しくなることもあります。足のつけ根のリンパ節が腫れたり、痛むなどの症状がほとんどの患者さんに見られます。
ふつうは約 2~3週間で自然治癒しますが、抗ヘルペスウイルス剤を使用すると1週間程度で治ります。
男女とも再発することが多く、初めて感染したときよりも、2回目以降の症状は軽くなり、治るまでも 7~10日と短くなります。
しかし、その発症の頻度には個人差があり、月に数回の人もいれば年に 1~2回の人もいます。
【パートナーへの感染と再発症状の関係】
性器ヘルペスのパートナーへの感染は、約7割が本人に症状の自覚が ない時に起こっています。
症状がないのに、ウイルスは放出しており、 パートナーに感染させてしまうので、とても厄介な病気です。
妊娠36週以後の発症では
という考え方もあります。
妊婦さんが分娩時に性器ヘルペスを発症していると、50%の確率で新生児ヘルペスを引き起こす
可能性があります。
新生児ヘルペスの20〜30%は死に至りますので、妊娠中の健康管理には注意が必要です
抗ヘルペスウイルス剤の投与で治癒までの期間が短縮します。
再発を繰り返す時には、長期間(1年間)、抗ウイルス剤を少量ずつ服用する再発抑制療法があり、健康保険で認められています。
再発への不安や、パートナーへの感染を70%以上低下させることができます。
治療中セックスは絶対に避けてください。
普段からコンドームを使用することで、ある程度は防止できます。
しかし、肛門、でん部、大腿部にも発症することがありますので、コンドームの使用だけでは完全に防止できません。
また、コンドームもセックスの最初からつけるなど、正しく使用しなければ意味がありません。
普段から性について正しい知識を持つことも大切です。
男性に対して女性は自覚症状が少ないことから、発見が遅れてしまいがちです。
セックスによって淋菌に感染すると子宮の入り口から子宮の中、卵管、腹腔内へと感染が広がり炎症を起こしてしまうことがあります。
それが原因で子宮外妊娠、不妊症、母子感染などの深刻な問題を生む危険性があります。
そのため、症状が無くてもパートナーの感染が分かった時には、二人で同時に治療を受けることが大切です。
おりものが増える、性器のかゆみ、尿道・膀胱炎を起こすことがあります。
感染が子宮から卵管まで進むと激しい下腹部痛と発熱が起こります。
オーラル・セックスにより淋菌が喉に感染して炎症を起こすことがありますが、自覚されないことも多いです。。
尿道炎を起こすと、尿道のかゆみや熱感が現れて排尿時に痛みが走ります。
そのときの膿の性状は黄色くてドロドロしていることが多いです。
さらに進むと前立腺炎、副睾丸炎を起こすことがあります。
1〜2週間、抗生物質の服用を続けます。
症状がなくなったからといって勝手に服用をやめないようにしましょう。
処方された薬の服用が終わってからもう一度検査をします。
これで陰性とならなければ治ったとは言えません。
1〜2週間、抗生物質の服用を続けます。
症状がなくなったからといって勝手に服用をやめないようにしましょう。
処方された薬の服用が終わってからもう一度検査をします。
これで陰性とならなければ治ったとは言えません。
HPV(human papilloma virus)というウィルスによる性器への感染症です。
約3週間から8ヶ月の潜伏期間を経て主に性行為により感染します。
時には出産時の産道感染も見られます。
外陰部・会陰・肛門周囲・膣・子宮頚部などに先のとがったニワトリのトサカのような腫瘤ができます。
淡紅色または褐色調のものが多く巨大化するものもあります。
自覚症状としては、できものを感じる程度ですが、おりものなど他の異常を併発している場合があるので、きちんと治療することが大切です。
などの治療法がありますが、当院では腫瘍が大きい場合には高周波電気メスで切除し、小さい場合には腫瘍が縮小するまで軟膏を塗布していただきます。
治療後も再発率が高く25%は3ヶ月以内に再発し再び治療が必要になる事もあるので、手術後も経過観察することが大切です。
コンドームで予防することはできますが、広い範囲で感染していると予防の確率は低くなります。
また、アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎など外陰部に皮膚炎があると感染しやすくなります。
尖圭コンジローマの患者さんへ
パートナーも感染していることが多く、特にパートナーの3分の2は9ヶ月間の期間を経て発症することがあるのでその間は特に注意が必要です。
尖形コンジローマが悪性化することはありませんが、年一回の癌検診を受けられることをおすすめします
梅毒トレポネーマ(treponema pallidum)という病原体による感染です。
主に性行為により粘膜や皮膚の小さな傷から感染し、血液中に侵入し、血行性に全身に散布され全身症状につながる。
検診時などに偶然発見される潜伏感染が多く、妊娠した場合には必ず検査をします。
「過去の病気」と思われていた梅毒ですが、2011年以降男女ともに急増しています。
とくに女性では「異性間性的接触」による感染が急増していることは看過できません。
その背景には、最近の無防備な性行動があるだろう・・・とは想像に難くはありません。
早期に発見し、早期治療をすることが求められます。
「過去の病気」と思われていた梅毒ですが、2011年以降男女ともに急増しています。
他のSTIが減少傾向にある中、なぜ梅毒がこれほど増加しているのか・・・
原因はまだはっきりしていませんが、今後の動向に注視が必要です。
【梅毒患者報告数の年次推移(男女別)】
厚生労働省 感染症発生動向調査より作成(2000年~2021年)
【早期顕症梅毒(Ⅰ期、Ⅱ期)患者年齢群・感染経路別報告数】
「感染症発生動向調査から見たわが国の性感染症の動向、2013年」
厚生労働科学研究費補助金 新型インフルエンザ等新興・ 再興感染症研究事業
「性感染症に関する特定感染症予防指針に基づく対策の推進に関する研究」より
1、早期梅毒(感染力のある初めの2年間です)
【早期顕性梅毒】
【早期潜伏梅毒】
症状はないが、血清梅毒反応が要請の場合
【早期顕性梅毒】
経口ペニシリン系抗菌薬が第1選択です。
【無症候梅毒】
症状がなく血液検査で感染が分かった場合で、梅毒血清学的検査STSで16倍以上の場合は治療が必要になります。
STS定量で8単位以下になるまで経口ペニシリン系抗菌薬を服用します。
感染していても、必ずしも皮膚症状を示さない潜伏梅毒の方が多い (大阪府の統計成績では6~7割)と言われます。
不安な、リスクのある性行為があった時には、検査をすることです。
病原体:トリコモナス原虫による感染症(潜伏期間 4〜20日間)
20〜50%の方は症状が見られませんが、発症すると臭いの強いおりものがみられ、外陰の腫れ、膣の刺激感、激しい痒みを感じます。
そのほとんどは尿道炎症状を引き起こします。
尿道の感染だけでは排尿時に原虫が洗い流される可能性もありますが、前立腺にまで達して前立炎を引き起こすことも多くあります。
もともと、トリコモナスは前立腺や精のうなどに棲息し、尿道に出てくることで尿道炎を引き起こします。
服薬により一週間〜10日でほぼ完治することができます。
完治してもパートナーが完治していない場合、再び感染してしまう「ピンポン感染」を避けるために、パートナーと二人での治療が大切です。
トリコモナスの検査は大変難しく、男性があやまって陰性と診断されてしまう場合もあるため、注意が必要です。
感染した後、ほとんどの人が気付かないからです。気付かないうちに人にうつしてしまう危険性があるからです。
コンドームを正しく使用する。
たとえ低用量ピルを使用していても、STIの感染は防げません。
コンドームを正しく使用し、セックスをしましょう。
STIの種類により異なりますが、抗生物質の服用や膣坐薬や軟膏などによって治療を行ないます。
パートナーと共に完治することが大切です。