(平成15年7月12日から毎週土曜「赤旗」にて連載 全6回)
私は4年前、仙台駅東口のオフィス街に外来だけの小さなクリニックを開院した。受診者の7〜8割が10〜20代の若い未婚女性である。
恋人以外にも不定期の相手とセックスする女性が増えている。クラミジアに感染した患者さんに「3年間付き合った彼以外にセックスした人がいましたか」と聞くと、「まあ・・」とさらりと返答がある。
性感染症の患者さん341名にアンケートで尋ねてみる。「過去のパートナー(恋人)」は5人以上がほぼ5割、「過去にパートナー以外とセックスしたことがある人」は6割、しかも半数の人は5人以上とのこと、実に驚くべき予想をはるかに越えた実態である。
最近の若者は恋人がいても100%メル友がいる、時にはセックスもあるかもしれないことを双方認知しているという。セックスがあることが特別な関係を証明するものではない、「セックスの特権性」が減弱しつつあり、「性は結婚の中にあり」の性規範はほぼ崩壊したと断言しなければならない。
「出来ちゃった結婚が4割」とも言われつつも、セックスすることが結婚への確かなパスポートにならない時代、結婚への意思決定は何によるのか。
情報過剰、価値観の多様化が進む一方で、日本経済の破綻と中流崩壊、大学卒でも貧乏人、若者の5人に1人はフリーターという。夢は追えても、個々人の経済力、生活保証はままならず・・・。結婚モラトリウムは一層延長し、男も女も自分探しの旅を止められない、とてもしんどいの時代なのであろう。